「夕方になると、顔が天ぷらのようにテカる……」
「洗顔しても、数時間後には鼻の頭がギトギト」
「同じ場所に繰り返しできる、痛い赤ニキビにうんざり」
もしあなたが、尽きることのない「皮脂」と戦っているなら、化粧水を変える前に「体内の掃除システム」を見直すべきかもしれません。
SNSや美容マニアの間で「飲む脂取り紙」とも呼ばれる成分、「パントテン酸(ビタミンB5)」をご存知でしょうか?
実はこれ、単なる栄養補給ではありません。科学的に見ると、細胞内で油を燃やすための「着火剤」そのものなのです。
この記事では、SEOと科学論文のエキスパートである筆者が、パントテン酸がなぜこれほどまでに「脂性肌ニキビ」に効くと言われるのか、その驚きのメカニズムを中学生でもわかるように解説します。
【結論】パントテン酸の科学的評価:油を「エネルギー」に変えて消す焼却炉
結論から申し上げます。
パントテン酸(Pantothenic Acid)は、私たちが食べた脂肪や体内の油を分解・燃焼させるために必須の酵素「コエンザイムA(CoA)」の材料です。
これが不足すると、体は油をうまく処理できず、余った油を「皮脂」として毛穴から捨てようとします。これがニキビの原因です。
パントテン酸を十分に補給することは、科学的に以下の効果をもたらします。
- 皮脂分泌の抑制:油を「捨てる」のではなく「燃やしてエネルギーにする」サイクルを回す。
- 毛穴詰まりの解消:サラサラした質の良い皮脂に変え、詰まりを防ぐ。
- 抗炎症・治癒促進:(塗布した場合)肌のバリア機能を修復し、傷の治りを早める。
つまり、外から拭き取るのではなく、「工場(体)の中から油の排出量を減らす」という根本解決アプローチなのです。
根拠となる「科学的研究」の全貌
パントテン酸とニキビの関係を決定づけた、香港の医師Dr. Leungによる有名な研究をご紹介します。
(※現在も「メガビタミン療法」の基礎となっている研究ですが、摂取量については後述の注意点を必ず読んでください)
どんな研究だったのか?
1995年~1997年にかけて発表された研究で、100人のニキビ患者(重症度さまざま)を対象に行われました。
Dr. Leungは「ニキビの本質的な原因は、パントテン酸不足による脂質代謝の不全である」という仮説を立て、患者に高用量のパントテン酸(1日10gなど、通常の数百倍の量)をクリーム(20%)と併用して投与しました。
驚きの検証結果と数値
結果は劇的でした。
- 皮脂の減少:
治療開始から数日で皮脂の分泌が目に見えて減少し、顔のテカリが収まりました。 - 毛穴の縮小:
皮脂という「詰め物」がなくなったことで、開いていた毛穴が小さく引き締まりました。 - ニキビの消失:
8週間(約2ヶ月)以内に、多くの患者で新しいニキビの発生が止まり、既存のニキビも退行しました。
→ まるで強力なニキビ薬(イソトレチノイン)のような効果を、ビタミンだけで実現したのです。
なぜ効くのか?メカニズムをわかりやすく解説
なぜビタミンを摂るだけで、顔の脂が止まるのでしょうか?
その鍵は、生化学の主役「コエンザイムA」にあります。
細胞の中で何が起きている?
私たちの体に入った「脂質(油)」を処理する工場を想像してください。
【パントテン酸の働き:ゴミ焼却炉の燃料】
1. 油のゴミ出し:
体内の余分な油は、通常「焼却炉(ミトコンドリア)」で燃やされてエネルギーになります。2. 作業員(コエンザイムA):
油を焼却炉に運ぶには、「コエンザイムA」という作業員が絶対に必要です。
そして、この作業員の正体(材料)こそが「パントテン酸」です。3. 不足すると…(ニキビ発生):
パントテン酸が足りないと、作業員がいなくなります。
すると、燃やされなかった油のゴミが工場に溢れかえります。
体は仕方なく、「顔の毛穴」という窓から油を外に捨て始めます。これがギトギト皮脂とニキビの正体です。
つまり、パントテン酸を大量に補給することは、「作業員を大量投入して、溜まった油を一気に燃やし尽くす」という作戦なのです。
[サジェスト深掘り] 飲むだけじゃない?「塗る」効果
パントテン酸は、サプリメント(内服)だけでなく、化粧品成分(外用)としても非常に優秀です。
化粧品では「パンテノール(プロビタミンB5)」という名前でよく配合されています。
- バリア機能の修復:
細胞の分裂を助け、傷ついた皮膚組織を繋ぎ合わせます。「ニキビを潰してしまった傷」の治りを早める効果があります。 - 保湿と抗炎症:
水分を保持する力が高く、同時に赤みを抑えます。ベタつかないので、脂性肌の保湿に最適です。
「中からはサプリで皮脂抑制、外からはパンテノールで傷修復」という挟み撃ちが、最強の布陣です。
[副作用と飲み方] 失敗しないための重要ルール
「じゃあ、たくさん飲めばいいの?」と思うかもしれませんが、注意が必要です。論文のデータと現代の栄養学に基づいたリスクをお伝えします。
副作用のリスク
- 水溶性なので安全性は高い:
パントテン酸は水溶性ビタミンなので、余分な分は尿として排出されます。重篤な副作用はほとんど報告されていません。 - お腹が緩くなる:
一度に大量摂取すると、下痢や軟便になることがあります。 - 「ビオチン」不足に注意(重要):
パントテン酸と「ビオチン(ビタミンH)」は、体内で吸収されるルートが同じです。
パントテン酸ばかり大量に摂ると、ビオチンが吸収できず、「白髪」や「髪のパサつき」が起きる可能性があります。
→ 長期摂取する場合は、ビオチンもセットで摂るのが美容界の定説です。
効果的な飲み方(目安)
- 量: 市販のサプリメントの規定量(50mg〜500mg程度)からスタートしましょう。論文のようなメガドーズ(数g単位)は医師の指導がない限り推奨しません。
- タイミング: 水溶性で排出されやすいため、「朝・昼・晩」と数回に分けてこまめに飲むのがコツです。
よくある質問 (Q&A)
Q1. どれくらいで効果が出ますか?
個人差がありますが、皮脂抑制は2〜4週間程度で感じる人が多いです。
ニキビ自体が減るには、肌のターンオーバーを含めて1〜3ヶ月は様子を見てください。
「朝起きたときの顔のヌルヌルが減った」というのが最初のサインです。
Q2. 乾燥肌でもニキビができるタイプですが、飲んでもいいですか?
慎重になってください。
パントテン酸は皮脂を強力に抑える傾向があるため、乾燥肌(ドライスキン)の人が大量に飲むと、逆にカサカサになるリスクがあります。
乾燥ニキビの場合は、飲むよりも「塗るパンテノール」でバリア機能を高めるケアをおすすめします。
Q3. 食べ物からは摂れないの?
摂れますが、治療レベルの量は難しいです。
パントテン酸(Pantothenic)はギリシャ語の「どこにでもある」が語源で、レバー、納豆、卵、アボカドなど多くの食品に含まれます。
しかし、ニキビ改善を目的とする場合に必要な量を食事だけで補うのは現実的ではありません。
まとめ
パントテン酸(ビタミンB5)は、ニキビケアにおいて「皮脂という燃料を断つ」ための科学的なアプローチです。
- 脂質代謝(コエンザイムA)を活性化させ、油をエネルギーに変えて燃やす。
- パンテノール(塗るB5)は、ニキビの傷と赤みを癒やす。
- 水溶性で排出されやすいため、こまめな摂取がカギ。
もしあなたが、何度洗顔しても湧き出る油田のような肌に悩んでいるなら、スキンケアで蓋をするのではなく、パントテン酸で「体内焼却炉」のスイッチを入れてみてはいかがでしょうか。
サラサラとした清潔感のある肌は、体の中から作ることができます。
参考文献
- A hypothesis on the etiology of acne vulgaris. (Leung LH. 1995)
※パントテン酸欠乏とニキビの関係を提唱した基礎論文 - Pantothenic acid deficiency as the pathogenesis of acne vulgaris. (Leung LH. Med Hypotheses. 1997)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9227745/ - Skin moisturizing effects of panthenol-based formulations. (Camargo FB et al. 2011)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21982351/ - Pantothenic Acid (Vitamin B5) – Health Professional Fact Sheet (NIH)
https://ods.od.nih.gov/factsheets/PantothenicAcid-HealthProfessional/

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