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「白髪を1本抜くと、その周りからもっと増える」という話を聞いたことはありませんか?鏡を見ていてつい指が伸びてしまう白髪ですが、この「抜くと増える」という噂が科学的に正しいのかどうか、不安に感じている方も多いはずです。
本記事では、毛髪科学および皮膚科学的な知見に基づき、白髪を抜くことによる生体への影響を解説します。結論から言えば、白髪を抜いても「数」が増えることはありませんが、それ以上に深刻なダメージを頭皮に与えるリスクがあります。エビデンスに基づいた正しいケアを知り、健やかな髪を維持しましょう。
【結論】「抜くと増える」は迷信。ただし「ハゲ」や「うねり」の原因に
結論から申し上げますと、白髪を抜くことによって、白髪の総本数が増えるという科学的な根拠はありません。 毛髪の色を作る細胞(メラノサイト)は毛包ごとに独立しており、1本抜いた刺激が隣の毛包に伝わってメラニン産生を止めることは考えにくいからです。
- 加齢のタイミング: 白髪が気になりだして抜く時期は、生理的に白髪が加速度的に増える時期と重なりやすいためです。
- 視覚的変化: 抜いた後も同じ毛穴からは再び白髪が生えてきます。短く生えてくる毛は立ち上がりやすいため、以前より目立って見えます。
- 意識の集中: 1本抜くことで「他にもないか」と注意深く観察するようになるため、元々あった白髪に気づきやすくなります。
まずは1ヶ月、抜くのを我慢して、根本からカットするなどの「地肌を傷めない対策」へ切り替えることをお勧めします。
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根拠となる研究:毛包の独立性とメラノサイトの消失
毛髪の着色プロセスと、抜毛が毛周期(ヘアサイクル)に与える影響については、多くの皮膚科学的研究で明らかにされています。
研究内容
毛髪研究の知見(例:Steingrímsson et al. 2005)によると、毛髪の着色は各毛根にある「メラノサイト幹細胞」によって制御されています。白髪は、この幹細胞が枯渇したり、メラニンを作る酵素が働かなくなったりすることで発生します。1つの毛穴から生えている毛は独立しており、隣の毛穴の細胞に「白髪になれ」という信号を送るメカニズムは確認されていません。
結果数値:抜毛による頭皮へのダメージ影響
| 項目 | 白髪を抜いた場合 | 白髪をカット・染めた場合 |
|---|---|---|
| 毛包への物理的負荷 | 非常に高い | なし |
| 毛嚢炎(炎症)リスク | あり | なし |
| 再生する毛の質 | うねる・細くなる可能性 | 元の毛質を維持 |
| 周囲への白髪伝染 | なし | なし |
※1つの毛穴から複数本の毛が生えている場合、1本を無理に抜くことで隣の健康な髪の毛根まで傷めるリスクがあります。
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白髪を抜くことで起きるメカニズム
「増える」ことはなくても、なぜ白髪を抜いてはいけないのか。そのプロセスをステップ形式で解説します。
- 毛包へのダメージ: 髪を抜く際、毛根を包んでいる「毛包」に強い牽引力がかかり、内部で微細な出血や炎症が起こります。
- 毛穴の変形: 炎症を繰り返すと、毛穴周囲の組織が硬くなり(線維化)、毛穴の形が歪みます。これにより、次に生えてくる毛が「うねり毛」になりやすくなります。
- 毛母細胞の死滅: 繰り返し抜く刺激によって、新しい髪を作る「毛母細胞」が深刻なダメージを受けると、最悪の場合、その毛穴から二度と毛が生えてこなくなります。
- 抜毛性脱毛症のリスク: 特定の部位を抜き続けることで、その部分だけが薄くなるリスクを科学的に無視できません。
細胞レベルの挙動
毛根を抜く刺激は、皮膚にとって「外傷」と同じです。修復プロセスにおいて炎症性サイトカインが放出され、これが毛包周囲の微小環境を悪化させます。このストレスはメラノサイトを保護するどころか、周囲の健康な細胞の老化(細胞老化)を早める可能性すら示唆されています。
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体験談:想定ケース
※想定ケース:30代後半、分け目の数本の白髪を1年間抜き続けた場合
「30代半ばから分け目に数本だけ生える白髪が許せず、見つけるたびにピンセットで抜いていました。最初はスッキリしていましたが、1年後、同じ場所から生えてくる白髪が以前よりピンピンと跳ね、チリチリした手触りに。さらに、分け目の地肌が以前より透けて見えるようになり、美容師さんから『毛根がダメージを受けて毛が細くなっている』と指摘されました。抜くのをやめて染めるようにしたら、地肌のヒリつきも収まりました。」
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関連サジェストKW①:白髪 抜く 代わり 対策
白髪を抜かずに、視覚的に目立たなくするための科学的な代替案を比較しました。
| 手法 | 仕組み | メリット・デメリット |
|---|---|---|
| 根元からカット | ハサミで切る | 地肌へのダメージゼロ。ただし数日でまた目立つ |
| 白髪隠しマスカラ | 一時的な着色 | 即効性があり安全。洗髪で落ちる |
| ヘアマニキュア | 表面をコーティング | ダメージが少なく、2〜3週間持続する |
| 白髪染め(アルカリ) | 内部まで染色 | 完璧に染まるが、頻度が高いと頭皮に負担 |
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関連サジェストKW②:白髪 抜いたあと 生えてこない 確率
白髪を抜くことが招く「将来の後悔」を防ぐためのチェックリストです。
- 毛根の再生回数: 1つの毛根が生涯に生え変わる回数は決まっている(約20〜30回)と言われています。抜くことは、この貴重な回数を無駄に消費する行為です。
- 炎症の確認: 抜いた後、毛穴が赤くなったり、ポツポツとした盛り上がりができたりしていないか確認しましょう。これは毛嚢炎の兆候です。
- 抗酸化ケア: 白髪そのものを減らす可能性として、頭皮の酸化ストレスを抑えるケア(ビタミンCやEの摂取、マッサージ)が科学的に注目されています。
- [ ] 10本以上の白髪を一度に抜いていないか?(広範囲のダメージ)
- [ ] 無理やり引き抜かず、眉用ハサミ等でカットしているか?
- [ ] 頭皮の色が「ピンク」や「赤」になっていないか?(健康なら青白い)
- [ ] 髪の栄養素であるタンパク質や亜鉛、銅を食事で摂れているか?
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よくある質問(FAQ)
白髪を抜くことに関する疑問を早見表にまとめました。
| 質問 | 回答・対策 |
|---|---|
| 抜いた後に「かさぶた」ができるのは? | 毛包が損傷し、出血した証拠です。絶対に続けてはいけません。 |
| 白髪を抜くとハゲるって本当? | はい。繰り返しの抜毛は毛包を破壊し、永久的な脱毛に繋がります。 |
| 抜くのが快感(抜毛癖)な場合は? | ストレスが原因の「抜毛症」の可能性があります。専門のカウンセリングや受診を検討しましょう。 |
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まとめ
「白髪を抜くと増える」というのは、科学的には正しくない「迷信」です。しかし、抜くという行為は毛穴や毛包に深刻な物理的ダメージを与え、将来的に「髪が生えてこなくなる」「うねりや細毛になる」といった、白髪以上に厄介な問題を引き起こします。
白髪を見つけた時の最善の策は、抜かずに「根元からカットする」か「安全な方法で染める」ことです。白髪は体の自然な変化ですが、頭皮を健康に保つことで、髪全体の質を維持することは可能です。もし、抜毛によって地肌が荒れたり、急激に白髪が増えて不安な場合は、自己判断せず皮膚科専門医に相談することをお勧めします。正しい知識を持って、一生付き合う髪と頭皮を大切に育んでいきましょう。
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参考文献
- Steingrímsson E, et al. Melanocytes and the Microphthalmia Transcription Factor Network. (2005)
URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16171465/ - Nishimura EK, et al. Mechanisms of Hair Graying: Incomplete Melanocyte Stem Cell Maintenance in the Niche. (2005)
URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15694354/ - 日本皮膚科学会:脱毛症診療ガイドライン
URL: https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/hairloss_guideline2017.pdf


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