「病院で処方されるヒルドイドと、薬局で買える市販品は何が違うの?」「市販品でも同じ効果があるの?」という疑問を持つ方は非常に多いです。結論から言えば、主要な有効成分である『ヘパリン類似物質』の濃度はどちらも基本的に0.3%で同じですが、配合されている『添加物(基剤)』や、製品が分類される『法律(医薬品か医薬部外品か)』に大きな違いがあります。
本記事では、ヒルドイドとその市販品の科学的スペックを比較し、保湿力や使用感に差が出る理由をエビデンスに基づいて解説します。自分にぴったりの「ヘパリンケア」を見つけるための参考にしてください。
【結論】ヒルドイド(医療用)と市販品の決定的な違い
病院でもらうヒルドイドと市販品の違いは、有効成分そのものよりも「基剤(クリームなどのベースとなる成分)の設計」と「入手しやすさ」にあります。
| 項目 | ヒルドイド(医療用) | 市販薬(第2類医薬品) | 医薬部外品(薬用コスメ) |
|---|---|---|---|
| 有効成分濃度 | 0.3% | 0.3%(ほぼ共通) | 0.3%(または規定量) |
| 目的 | 治療(皮脂欠乏症など) | 治療・改善(乾燥肌など) | 予防・保湿(スキンケア) |
| 添加物 | 伝統的な処方 | 美容成分配合など多様 | 使用感重視の設計 |
- 結論:「ヘパリン類似物質0.3%」であれば、保湿力の核となる部分は同等。
- 注意:医療用は「治療」を目的に最適化されているため、美容成分などは含まれない。
- 選び方:肌荒れの「治療」なら医薬品、日常の「予防」なら医薬部外品が適している。
根拠となる研究:ヘパリン類似物質の3つの作用
ヒルドイドの主成分であるヘパリン類似物質が、なぜ「最強の保湿剤」と呼ばれるのか。それは、単に水分を閉じ込めるだけでなく、細胞レベルで肌の構造に働きかけるからです。
研究デザイン
ヘパリン類似物質の薬理作用については、数十年にわたる臨床データが存在します。主な作用は以下の3点です。
| 作用名 | 細胞レベルでの現象 |
|---|---|
| 保湿作用 | 角質層の水分保持能を改善し、ラメラ構造を整える。 |
| 血行促進作用 | 毛細血管の血流を改善し、肌の代謝をサポートする。 |
| 抗炎症・組織修復 | 荒れた皮膚の再生を促し、炎症を鎮める。 |
結果数値
臨床試験データでは、ヘパリン類似物質0.3%製剤を1日2回、4週間にわたって塗布した結果、角質層の水分含量が有意に増加し、皮膚のバリア機能(TEWL:経表皮水分損失の低下)が大幅に改善したことが示されています。この「0.3%」という濃度は、効果と安全性のバランスが最も優れた黄金比として、市販品にも広く採用されています。
メカニズム:肌の内側から潤うステップ
ワセリンが「表面の蓋」をするのに対し、ヘパリン類似物質は「内側の構造改革」を行います。
細胞レベルの挙動
- ラメラ構造の整列:角質層にある脂質と水分の層(ラメラ構造)に入り込み、乱れた並びを整えます。
- 親水性の向上:成分自体が高い保水力を持っており、角質細胞の間に水分を抱え込みます。
- 深部へのアプローチ:単なる油分ではなく、親水性の特性を活かして角質層のすみずみまで浸透し、潤いの土台を作ります。
ワセリンとの違いや、顔に塗る際の注意点についてはこちらの記事も参考にしてください。
ヘパリン類似物質は顔に塗れる?論文が示す「3つのNG条件」
体験談:医療用から市販品へ切り替えた想定ケース
※想定ケース:乾燥肌で病院に通っていたが、忙しくて薬局で市販品(医薬品)を購入した人
「病院のヒルドイドソフト軟膏は少しベタつきが気になっていました。市販の『泡タイプ』や『ローション』を試してみたところ、[EXPERIENCE: 保湿力はヒルドイドと同等に感じつつも、肌馴染みが良く、朝のメイク前にも使いやすくなりました。] 成分が同じなので、症状が落ち着いている時は市販品で十分だと感じています。」
関連キーワード①:市販品(医薬部外品)のメリット
最近増えている「医薬部外品」のヘパリン類似物質製品(カルテHDなど)は、医療用にはないメリットがあります。
- 美容成分の配合:グリチルリチン酸ジカリウム(抗炎症)や、セラミド類似成分などが一緒に配合されていることが多い。
- 使い心地の追求:ベタつきを抑えた設計や、無香料・低刺激処方など、化粧品メーカーの知見が活かされている。
皮膚修復をさらに助けたい場合は、パンテノール配合製品との併用も検討に値します。
パンテノールで肌荒れは治る?「皮膚修復の科学」
関連キーワード②:使用上の注意と副作用
非常に安全な成分ですが、血行促進作用があるため、以下のケースでは注意が必要です。
| NG条件 | 理由 |
|---|---|
| 出血している部位 | 血が止まりにくくなる可能性があるため。 |
| 潰瘍・ひどい傷口 | 直接傷口に塗ると刺激になる可能性があるため。 |
よくある質問(Q&A)
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| 市販品は「ジェネリック」と同じ? | 違います。ジェネリックは「医療用」としての認可品ですが、市販品は一般消費者向けに改めて設計された製品です。 |
| 顔に塗ると赤くなるのはなぜ? | 血行促進作用による一時的な赤みの可能性があります。痛みや強いかゆみがなければ様子を見ても良いですが、続く場合は中止してください。 |
| 美容目的で病院でもらってもいい? | NGです。医療用はあくまで「治療」のための保険適用品です。美容目的であれば、高機能な市販品を選びましょう。 |
まとめ
ヒルドイド(医療用)と市販品(ヘパリン類似物質)は、メイン成分の濃度という点では「ほぼ同じ」です。しかし、医療用は「治療」に特化したシンプルな設計、市販品は「使い心地」や「プラスアルファの美容成分」を重視した設計という個性の違いがあります。
深刻な肌荒れがある場合はまず皮膚科へ。日常の乾燥対策や、自分好みのテクスチャーを求めるなら市販品を。科学的に賢く使い分けて、健康なバリア機能を維持しましょう。
参考文献
- Yoshizawa, Y., et al. (2003). “The effect of heparinoid on the skin barrier function.” Journal of Dermatological Science.
- 日本皮膚科学会:皮脂欠乏症診療ガイドライン.
- マルホ株式会社:ヒルドイド 添付文書・インタビューフォーム.


コメント