「まつ毛パーマをしたら毛先がチリチリになった」「まつ毛が細くなって抜けやすくなった」……。そんな経験はありませんか?目元を華やかにしてくれるまつ毛パーマ(まつパ)ですが、その裏側では髪の毛のパーマと同様、あるいはそれ以上に過酷な化学反応が起きています。
まつ毛は髪の毛よりも細く、ダメージが顕在化しやすい部位です。本記事では、まつ毛パーマ剤に含まれる成分がどのように構造を変化させ、なぜ「痛み」に繋がるのかを皮膚科学・毛髪科学の視点から解説します。
【結論】まつ毛パーマは「タンパク質の変性」と「アルカリ残留」が痛みの正体
結論から申し上げますと、まつ毛パーマで痛む最大の理由は、還元剤によるシスチン結合の切断と、アルカリ剤によるキューティクルの損傷です。これらが適切に処理されないと、まつ毛内部の栄養が流出し、乾燥してチリチリになります。
- S-S結合の切断: 1剤に含まれる「チオグリコール酸」などが、まつ毛の強度を支える結合を強制的に切り離す。
- アルカリによる膨潤: まつ毛を膨らませて薬を浸透させる際、保護膜であるキューティクルが剥がれやすくなる。
- 酸化不足: 2剤の反応が不十分だと、切れた結合が戻らず、スカスカの「ダメージ毛」になる。
化学的なダメージを最小限に抑え、健やかなまつ毛を維持するためには、施術後の「ケラチン補給」と「徹底した保湿」が科学的な鉄則です。
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根拠となる研究:毛髪構造へのパーマ剤の影響
まつ毛と髪の毛はどちらも「ケラチン」というタンパク質でできています。パーマ剤がこの構造に与える影響については、長年の毛髪科学研究で以下のように明らかにされています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主成分の反応 | 還元剤(1剤)によるシスチン結合(S-S結合)の還元・切断 |
| 物理的変化 | アルカリ条件下での毛髪の膨潤(通常時の1.5倍〜2倍の太さに膨らむ) |
| ダメージ指標 | 18-MEA(毛髪表面の脂質)の消失による疎水性の低下 |
| チリチリの原因 | 過還元(薬の置きすぎ)によるタンパク質の流出と熱凝固 |
研究内容
毛髪科学のシステマティック・レビューによれば、パーマ剤の主成分である「チオグリコール酸アンモニウム」は、毛髪内部のジスルフィド結合(S-S結合)を効率的に切断しますが、同時に毛髪の親水性を高めてしまいます。これにより、通常は水を弾くはずのまつ毛が水分を吸い込みやすく、かつ逃がしやすい「乾燥毛」へと変質することが数値的に示されています。
結果数値
実験データでは、パーマ処理を施した毛髪は未処理毛に比べ、引張強度が約20〜30%低下することが確認されています。また、表面のキューティクルが剥離することで、内部のタンパク質保持能力が著しく減少します。これが「まつ毛が細くなる」実体です。
まつ毛がチリチリに痛むメカニズム
なぜ「チリチリ」という無残な状態(通称:ビビリ毛)になってしまうのか、そのプロセスを可視化します。
- アルカリ浸透: アルカリ剤がキューティクルをこじ開け、薬が内部へ浸透する準備をする。
- 還元反応: 1剤がまつ毛の骨組み(S-S結合)をバラバラにする。この時、時間を置きすぎると「過還元」となり、構造が崩壊する。
- 中間水洗不足: 1剤が残ったまま2剤を塗ると、過剰な化学反応(酸化熱)が起き、タンパク質が変性する。
- 乾燥・固定: バラバラになった結合が中途半端に繋がった状態で乾燥し、うねった「チリチリ」が固定される。
細胞レベルの挙動
まつ毛の90%以上を占めるケラチンタンパク質は、らせん状の構造をしています。パーマはこのらせんを繋ぐ「橋(S-S結合)」を一度壊して架け替える作業です。薬の強すぎや放置時間のミスは、橋を壊すだけでなく、らせん構造そのものを溶かしてしまう(溶損)ため、二度と元の弾力には戻らなくなります。
体験談:3週間おきにまつパを繰り返した想定ケース
※想定ケース:まつ毛の上がり具合を維持したくて、3週間おきにハイ頻度でまつパを半年間継続した場合
最初の3ヶ月は常にパッチリした目元を楽しめますが、徐々に「毛先がバラついて整いにくい」と感じ始めます。半年後には、新しく生えてきた根元はしっかりしているのに、毛先だけが茶色く透け、洗顔後に乾くとチリチリに縮れるようになります。これは、度重なるアルカリ処理でキューティクルが完全に消失し、まつ毛の「芯」がない状態です。こうなると、ビューラーをしてもすぐに折れ、マスカラも綺麗に乗りません。
関連サジェストKW①:まつ毛パーマ 痛まない 成分
最近では「次世代まつ毛パーマ」としてダメージを抑えた処方も増えています。成分の違いを確認しましょう。
| 成分タイプ | 特徴 | ダメージレベル |
|---|---|---|
| チオ系(従来型) | しっかりかかるが、アルカリ度が高く傷みやすい。 | ★★★(高) |
| シス系 | まつ毛と同じ成分に近いが、放置時間が長くなる傾向。 | ★★☆(中) |
| システアミン系 | 分子が小さく、低アルカリでも浸透しやすい。ダメージ少。 | ★☆☆(低) |
関連サジェストKW②:まつパ 失敗 修正・ケア方法
もしチリチリになってしまった場合の、科学的なレスキュー法です。
- 「追いパーマ」は厳禁: チリチリを直そうとすぐに掛け直すと、まつ毛が断裂(断毛)します。
- 高濃度ケラチン美容液を使用: 失われたタンパク質を外側から補い、擬似的に芯を作ります。
- コーティング剤で疎水化: 剥き出しの内部を守るため、オイルやコーティング剤で膜を張ります。
- 生え変わりを待つ(約1〜2ヶ月): まつ毛の毛周期(サイクル)を考慮し、最低1ヶ月は薬剤から離れます。
よくある質問(FAQ)
- Q: セルフまつパは危険ですか?
- A: 非常に危険です。 薬の選定や放置時間の見極めが難しく、チリチリになるだけでなく失明や化学火傷のリスクがあります。
- Q: まつ毛美容液はいつから塗るべき?
- A: 施術当日の夜からOKです。 むしろ、パーマ直後の「通り道」ができている状態の方が浸透が良いという説もあります。
- Q: パーマ当日にマスカラしてもいい?
- A: 避けたほうが無難です。 酸化反応が完全に終わるまで数時間かかるため、24時間は物理的な負荷を避けましょう。
まとめ
まつ毛パーマは、「タンパク質の結合を一度切る」という化学的負荷を伴う施術です。チリチリになるのを防ぐには、信頼できるサロンで自分のまつ毛の状態に合った成分を選んでもらい、適切な放置時間を守ることが不可欠です。
一度「ビビリ毛(チリチリ)」になったまつ毛を完全に元通りにする魔法はありません。しかし、ケラチンやアミノ酸を補給する科学的なケアを続けることで、次に生えてくるまつ毛を健やかに育て、今のダメージを最小限に見せることは可能です。
サロン帰りの仕上がりを長く保ち、チリチリを防ぐための「補修成分特化型」の美容液はこちらを参考にしてください。
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参考文献
- Robbins CR. Chemical and Physical Behavior of Human Hair. Springer.
- 厚生労働省:理容師・美容師が使用する器具等の消毒の励行及びまつ毛エクステンションによる危害防止の徹底について.
- Journal of Cosmetic Science. Effects of reducing agents on hair properties.


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