【成分解説】グリチルリチン酸2Kは毎日使うと危険? 「副作用」の正体と正しい付き合い方

研究室で顕微鏡を覗く科学者、甘草の根、グリチルリチン酸2Kの試薬瓶が写った写真。「グリチルリチン酸2Kは危険?副作用の真実と正しい使い方」という文字が重なっており、成分解説記事のアイキャッチとして、毎日の使用や副作用のリスク、正しい付き合い方について問いかけている。 TITLE: グリチルリチン酸2Kは危険?副作用の正体と正しい使い方を解説 FILENAME: glycyrrhizic-acid-2k-side-effects.png 副作用・安全性検証

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「肌荒れ防止にいいって聞くけど、毎日使って大丈夫?」
「ステロイドと同じような副作用があるって本当?」

化粧品の成分表示でよく見かける「グリチルリチン酸2K(ジカリウム)」。抗炎症効果が高い一方で、ネット上には「使い続けると肌が薄くなる」「副作用が怖い」といった不安な声も散見されます。
結論から言えば、日本の化粧品・医薬部外品に配合されている濃度であれば、毎日使っても副作用の心配はほぼありません。
しかし、この成分が「なぜ効くのか」を知れば、リスクと言われる情報の「出どころ」と、気をつけるべき「本当の注意点」が見えてきます。

【結論】化粧品なら毎日OK。副作用リスクは「飲み薬」の話。

まず安心してください。市販の化粧水や乳液に含まれるグリチルリチン酸2Kで、重篤な副作用が起きる可能性は極めて低いです。科学的には以下の3点が証明されています。

科学的根拠に基づく3つの安心材料

  • ① 皮膚からはほとんど吸収されない:
    分子量が大きく、健康な肌の奥(血管)まで浸透することは稀です。全身への影響は無視できるレベルです。
  • ② 配合量の上限が決まっている:
    医薬部外品や化粧品では、安全性が担保された濃度(概ね0.1%〜0.5%程度)しか配合できません。
  • ③ ステロイドとは別物:
    構造が似ていると言われますが、ステロイドホルモンそのものではありません。「非ステロイド性抗炎症成分」に分類されます。

根拠となる「科学的研究」の全貌

噂される副作用「偽アルドステロン症」とは?

「副作用がある」という噂の根拠は、「偽(ぎ)アルドステロン症」という症状です。
これは、グリチルリチン酸を「大量に口から摂取(食べる・飲む)」した場合に起きる症状で、体がむくんだり、血圧が上がったりします。
漢方薬(甘草が含まれるもの)を長期で大量に飲んでいる人にはリスクがありますが、「肌に塗る」場合は、血中濃度がそこまで上がらないため、この副作用はまず起こりません。

研究データ:経皮吸収の安全性

安全性評価の報告書(Cosmetic Ingredient Review, 2007など)によると、グリチルリチン酸2Kを皮膚に塗布しても、体内への移行は極めて微量であり、全身性の毒性は認められなかったと結論づけられています。
また、皮膚刺激性やアレルギー(感作性)のリスクも非常に低い「マイルドな成分」として評価されています。

なぜ効くのか?メカニズムをわかりやすく解説

「火消し役」としての酵素ブロック

なぜグリチルリチン酸2Kは肌荒れを治せるのでしょうか?
その仕組みは、炎症を引き起こす「指令」を途中で遮断することにあります。

  • 炎症のスタート: 紫外線や摩擦などの刺激を受けると、細胞膜から「アラキドン酸」という物質が飛び出し、炎症の連鎖が始まります。
  • グリチルリチン酸2Kの働き: この連鎖の最初の段階に関わる酵素(ホスホリパーゼA2など)の働きを邪魔します。

つまり、火事(炎症)が大きくなる前に、「着火剤を取り上げる」ような働きをするのです。この作用が、ニキビの赤みやカミソリ負けを素早く鎮める理由です。

[グリチルリチン酸2K] 正しい付き合い方と注意点

副作用のリスクは低いですが、「使い方」には落とし穴があります。

注意点1:漫然使用による「隠れ炎症」

これが最も注意すべき点です。グリチルリチン酸2Kは「症状を抑える」対症療法の成分です。
例えば、合わない化粧品を使って肌が荒れているのに、グリチルリチン酸2K入りの化粧水で赤みを消していると、「肌に合っていないこと」に気づけません。
原因(合わない成分や摩擦など)を放置したまま、痛み止めを飲み続けているような状態になりかねません。

注意点2:漢方薬との重複

もし医師から漢方薬(甘草湯、芍薬甘草湯など)を処方されて飲んでいる場合は、念のため主治医に伝えておきましょう。
塗る分には微量ですが、体全体での「グリチルリチン酸摂取量」を把握しておくことは大切です。

よくある質問 (Q&A)

Q1. 妊婦や子供が使っても大丈夫?

化粧品レベルなら問題ありません。
経口摂取(甘草のハーブティーなど)は控えるべきとされますが、スキンケアとしての使用は安全とされています。赤ちゃんのオムツかぶれ用クリームにも使われるほど実績のある成分です。

Q2. ニキビが治ったら使うのをやめるべき?

はい、それが理想的です。
肌が落ち着いているなら、あえて抗炎症成分を塗り続ける必要はありません。調子が良いときは、シンプルな「セラミド」などの保湿ケアに切り替え、肌本来の力を育てるのが賢いスキンケアです。

Q3. 「薬用」と書いてあるものの方が効く?

その通りです。
「薬用(医薬部外品)」と表示されている製品は、効果が認められる「有効濃度」が配合されています。逆に一般的な「化粧品」分類の場合は、配合量が微量である可能性があります。本気で肌荒れを防ぎたいなら「薬用」を選びましょう。

まとめ

グリチルリチン酸2Kは、正しく使えば敏感肌の強力な味方です。

  • 毎日使っても副作用(偽アルドステロン症)の心配はほぼない。
  • ただし、「治す」成分ではなく「抑える」成分であることを忘れない。
  • 肌荒れが続く場合は、これを塗り続けるのではなく、スキンケア全体や生活習慣を見直すサイン。

「危険な薬」と怖がる必要はありませんが、「魔法の薬」として依存するのも違います。必要な時に、適切な期間だけ助けてもらう。そんな距離感で活用してください。

参考文献

  • Cosmetic Ingredient Review Expert Panel. Final report on the safety assessment of Glycyrrhetinic Acid, Potassium Glycyrrhetinate, Dipotassium Glycyrrhizate, etc. Int J Toxicol. 2007;26(Suppl 2):79-112. Available online
  • Armanini D, et al. Licorice-induced hypertension: cardiovascular, endocrine, and hypokalemic effects. Hypertension. 2002.
  • Kowalska A, et al. Licorice root in cosmetic and pharmaceutical industry. Postepy Fitoterapii. 2019.

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