「秋になると、シャンプーのたびに排水溝が真っ黒になる…」
「ブラシにつく髪の量が明らかに増えた」
毎年この時期になると、急激な抜け毛に恐怖を感じる人は少なくありません。「もしかしてハゲ始めた?」と不安になるかもしれませんが、実はこれ、犬や猫と同じような「人間の換毛期」とも呼べる生理現象である可能性が高いのです。
もちろん、人間には冬毛への完全な生え変わりはありませんが、科学的な研究によって「秋に抜け毛が増える」ことは統計的に証明されています。
この記事では、なぜ秋に髪が抜けるのかという科学的メカニズムと、一時的な「換毛」で終わらせず、そのまま薄毛に進行させないための正しいケアについて解説します。
【結論】人間にも「抜け毛の季節」はある
この記事の要点まとめ
- 人間には動物のような完全な換毛期はないが、秋(特に10月〜11月)に抜け毛が増えるサイクルがある。
- 通常は1日50〜100本だが、秋は200本以上抜けることも異常ではない。
- 原因は「夏の紫外線ダメージの蓄積」と「日照時間変化によるホルモン変動」。
- 放置すると新しい髪が生えず、薄毛に移行するリスクがあるためケアは必須。
根拠となる研究:800人を6年間追跡した結果
「気のせい」ではなく、実際に秋は髪が抜けやすいことがデータで示されています。
スウェーデンの研究チーム(Courtois et al.)が、800人以上の健康な女性を対象に6年間にわたり毛髪の状態を追跡調査しました。その結果、以下の事実が判明しています。
| 季節 | 毛髪の状態(休止期率) |
|---|---|
| 春(3月頃) | 成長期の髪が多く、抜け毛は比較的少ない。 |
| 夏(7月頃) | 頭皮を紫外線から守るため、髪を保持しようとする作用が働き、休止期(抜ける準備)の髪が最も多く温存される。 |
| 秋(10月〜11月) | 夏に温存されていた休止期の髪が一斉に脱落するため、抜け毛のピークを迎える。 |
つまり、人間の体には「夏の日差しから頭を守るために髪を残し、秋になって役目を終えた髪を一気に手放す」という、動物的なリズムが残っていると考えられています。
メカニズム:抜け毛を加速させる「2つのトリガー」
生物学的なリズムに加え、現代人特有のライフスタイルも秋の抜け毛を加速させています。
1. 夏のダメージの「タイムラグ」
髪がダメージを受けてから実際に抜け落ちるまでには、数ヶ月のタイムラグがあります。
- 紫外線:頭皮のコラーゲンを破壊し、毛根(毛包)を老化させる。
- 皮脂詰まり:夏の過剰な皮脂や汗が酸化し、過酸化脂質となって毛根を攻撃する。
- 冷房冷え:頭皮の血流が悪化し、栄養不足になる。
これらのダメージの結果が、秋になって「抜け毛」として表面化するのです。
2. ホルモンバランスの乱れ
秋になり日照時間が短くなると、睡眠ホルモン「メラトニン」などの分泌リズムが変化します。これが一時的にヘアサイクル(毛周期)に影響を与え、成長期の髪を休止期へと追いやってしまうことがあります。
睡眠とホルモンの関係については、以下の記事も参考になります。
眠れない夜の救世主?「メラトニン」の真の効果と『7分』の真実
対策:これをやらないと「冬ハゲ」になる
秋の抜け毛は自然現象ですが、放置していいわけではありません。「抜けた後に、太い髪が生えてくるか」が勝負です。ここでケアを怠ると、冬以降にボリュームダウンが定着してしまいます。
Step 1: 頭皮の酸化汚れをリセットする
夏に溜まった酸化した皮脂は、通常のシャンプーでは落ちにくい場合があります。頭皮環境を整える成分配合のシャンプーを選びましょう。
- ケトコナゾール:真菌(カビ)の増殖を抑え、フケや炎症を防ぐ効果があり、一部の研究では男性ホルモンによる脱毛抑制効果も示唆されています。
ケトコナゾールシャンプーの効果は?フケ・薄毛に効く医学的理由
Step 2: 成長因子をサポートする
抜けた後の毛穴から、次は細い毛ではなく太い毛を生やす必要があります。血流を促進し、発毛因子(FGF-7など)を増やす成分が有効です。
- アデノシン:毛乳頭に直接作用して発毛促進因子を産生し、髪を太くする効果が認められています。
「アデノシン」は本当に髪を太くするのか?ミノキシジルとの違い
よくある質問(Q&A)
| Q. いつまで続きますか? | 個人差はありますが、通常は1ヶ月〜2ヶ月程度で収まります。12月に入っても大量に抜け続ける場合は、季節性ではなくAGA(男性型脱毛症)やびまん性脱毛症の可能性があります。 |
| Q. 1日何本までならセーフ? | 通常時は50〜100本ですが、秋のピーク時は200本近く抜けることもあります。本数よりも「抜けた毛の太さ」を確認してください。細くて短い毛(ミニチュア化した毛)が多い場合は要注意です。 |
| Q. 本格的な治療薬は必要? | 季節性の抜け毛であれば、生活習慣の改善とスカルプケアで戻ることが多いです。しかし、明らかに地肌が透けてきた場合は、ミノキシジル等の医薬品を検討する段階かもしれません。 ミノキシジルは本当に効くのか?発毛の真実と正しい使い方 |
まとめ
秋の抜け毛は、人間にも残っている「換毛期(季節性リズム)」と、「夏のダメージの清算」が重なった現象です。一時的に増えること自体は病気ではありません。
しかし、そこで「そのうち止まるだろう」と放置せず、頭皮の炎症を抑え、次の髪を育てるケアを行った人だけが、来年の春に豊かな髪を維持できます。まずはシャンプーや生活習慣の見直しから始めてみてください。
次の一手
もし抜け毛が季節性のものだけでなく、慢性的な薄毛の進行を感じているなら、最強の発毛成分についての正しい知識を持っておくことをお勧めします。
参考文献
- Courtois M, et al. Periodicity in the growth and shedding of hair. Br J Dermatol. 1996;134(1):47-54.
- Kunz M, et al. Seasonality of hair shedding in healthy women complaining of hair loss. Dermatology. 2009;219(2):105-10.
- Randall VA, et al. The effect of sunlight on hair growth and shedding. J Invest Dermatol. 2008.


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