【鉄分サプリの正解】ヘム鉄と非ヘム鉄、どっちが効く?吸収率「5倍」の真実と、胃が痛くならない選び方

ヘム鉄と非ヘム鉄のサプリメント比較イメージ。赤身肉やほうれん草を背景に、中央に「\ヘム鉄 vs 非ヘム鉄/ 吸収率5倍の真実と選び方」のタイトル文字。吸収率の違いと胃への負担を減らす鉄分補給のコツを解説する記事のアイキャッチ。 TITLE: ヘム鉄と非ヘム鉄の違いは?吸収率5倍の真実と胃に優しい選び方 FILENAME: iron-supplement-heme-vs-nonheme-absorption. インナーケア

「立ちくらみがひどい」「階段を上るだけで息切れする」「氷をガリガリ食べたくなる」

これらは典型的な鉄分不足のサインです。そこでサプリを買おうとドラッグストアに行くと、「ヘム鉄」「非ヘム鉄」という2つの言葉に直面し、立ち尽くしてしまった経験はありませんか?

「高いヘム鉄の方が効くの?」「安い非ヘム鉄じゃダメ?」 実は、この2つは同じ鉄でも、体内への入り方(吸収ルート)が全く異なる別物質と言っても過言ではありません。

この記事では、科学的なデータに基づき、ヘム鉄と非ヘム鉄の決定的な違いと、最近話題の「第3の鉄(キレート鉄)」について、中学生でもわかるように徹底解説します。

【結論】胃腸が弱いなら「ヘム鉄」、コスパ重視なら「キレート鉄」

結論から申し上げます。科学的なスペック比較では以下のようになります。

  • ヘム鉄(動物性):吸収率が高く、胃が荒れにくい。ただし値段が高く、含有量が少なめ。
  • 非ヘム鉄(植物性・鉱物性):吸収率が低く、胃が痛くなりやすい。ただし値段は安い。
  • キレート鉄(海外の主流):非ヘム鉄を加工して吸収率を高めたもの。コスパと効果のバランスが最強。

もしあなたが「病院の鉄剤で胃が痛くなったことがある」なら、迷わずヘム鉄キレート鉄を選ぶべきです。

根拠となる「科学的研究」:吸収率5倍の差

なぜここまで推奨度が違うのか。それは「吸収率」に天と地ほどの差があるからです。

ヘム鉄 vs 非ヘム鉄 吸収率データ

一般的に、食事やサプリメントに含まれる鉄の吸収率は以下の通りです。

種類 主な食品・成分 吸収率(目安)
ヘム鉄 赤身肉、レバー、カツオ 10% 〜 35%
非ヘム鉄 ほうれん草、プルーン、安価なサプリ 1% 〜 5%

非ヘム鉄は、最大でも数%しか吸収されません。つまり、「プルーンを一生懸命食べるよりも、レバーをひと口食べる方が効率が良い」というのは、科学的に正しい事実なのです。

なぜ効くのか?メカニズムを「専用ドア」で解説

なぜこれほど吸収率が違うのか? その理由は、小腸での「入り方」にあります。

ヘム鉄は「VIP待遇」

ヘム鉄は、ポルフィリン環という「ガード」に包まれた状態でやってきます。小腸にはヘム鉄専用の入り口(HCP1などのトランスポーター)があり、「顔パス」でスルスルと細胞内に入れます。

非ヘム鉄は「検問あり」

一方、非ヘム鉄(むき出しの鉄)は、そのままでは入れません。 小腸の入り口で「3価鉄」から「2価鉄」へと形を変える(還元される)手続きが必要で、この時に食物繊維やタンニンの妨害を受けやすく、吸収率がガクンと落ちます。

さらに、吸収されずに余った「むき出しの鉄」は、胃や腸の粘膜を攻撃する「活性酸素」を発生させます。これが、安い鉄サプリや病院の鉄剤(フェロミアなど)を飲んだ時に起きる「吐き気」「胃痛」の正体です。

第3の選択肢:世界標準の「キレート鉄」とは?

ここで、サプリ選びの裏技を紹介します。それが「キレート鉄(フェロケル)」です。

これは本来、胃を荒らしやすい「非ヘム鉄」を、アミノ酸(グリシン)でガッチリと挟み込んでコーティングしたものです。

  • メリット:アミノ酸のフリをして吸収されるため、吸収率が非常に高い(ヘム鉄並みかそれ以上とも言われる)。
  • 胃への負担:鉄がむき出しではないので、胃を攻撃せず、吐き気が出にくい。
  • コスパ:ヘム鉄より安く作れるため、財布に優しい。

日本のドラッグストアではまだ少ないですが、海外(iHerbなど)ではこのキレート鉄が主流です。

[関連サジェストKW] 正しい飲み方と注意点

鉄分サプリの効果を最大化し、リスクを避けるためのルール解説です。

お茶やコーヒーで飲んでもいい?

昔はNGでしたが、今は「気にしなくていい」が定説です。 お茶に含まれるタンニンが非ヘム鉄の吸収を阻害するのは事実ですが、貧血の人が気にするべき誤差範囲内です。それよりも「飲み忘れること」の方がマイナスなので、水がないならお茶で飲んでも構いません(※ヘム鉄やキレート鉄ならタンニンの影響をほぼ受けません)。

ビタミンCと一緒に摂るべき?

非ヘム鉄なら必須です。 ビタミンCは、吸収されにくい非ヘム鉄を「吸収されやすい形」に変える手助けをします。オレンジジュースなどで飲むと効率が上がります。

副作用と過剰摂取リスク

鉄は「体に溜まりやすい」ミネラルです。過剰に摂りすぎると、肝臓に蓄積して臓器障害を起こすリスクがあります。 特に子供の誤飲は危険です。成人の場合、サプリの用法用量を守っていればまず問題ありませんが、「貧血の症状がないのに予防で大量に飲む」のはやめましょう。

よくある質問 (Q&A)

Q1. 病院の薬と市販サプリ、どっちがいい?

A. 深刻な貧血(ヘモグロビン10以下など)なら病院一択です。 病院の鉄剤は1錠で50mg〜100mgもの鉄が含まれていますが、市販サプリは数mg〜10mg程度です。治療レベルの貧血をサプリで治すのは困難です。まずは血液検査を受けてください。

Q2. 飲むと便が黒くなるのはなぜ?

A. 吸収されなかった鉄が出ているだけです。 便が黒くなるのは、吸収しきれなかった鉄が酸化して黒くなったものです。胃潰瘍などの出血でない限り、副作用ではないので心配いりません。

Q3. 女性は生理中だけ飲めばいい?

A. いいえ、毎日コツコツ飲むべきです。 減った鉄を貯金(フェリチン)まで回復させるには、最低でも3ヶ月かかります。生理中だけ飲んでも「自転車操業」にしかならず、根本的な貧血体質は治りません。

まとめ

鉄分サプリ選びの科学的結論は以下の通りです。

  1. 吸収率と胃への優しさなら「ヘム鉄」が優秀。
  2. 安くて効果が高いものを探しているなら「キレート鉄(フェロケル)」が最強の選択肢。
  3. 「非ヘム鉄」を選ぶなら、必ずビタミンCと一緒に摂り、胃痛に注意する。

【Next Action】 まずはドラッグストアでパッケージの裏面を見てください。「ヘム鉄」と書いてあればOK。「ピロリン酸鉄」や「クエン酸鉄」などの記載しかなければ、それは非ヘム鉄です。あなたの胃腸の強さと予算に合わせて、ベストな一本を選んでください。

参考文献

  • Miret S, et al. Absorption mechanisms of iron from infant formulas. Am J Clin Nutr. 2003;78(6):1260-1267.
  • West AR, Oates PS. Mechanisms of heme iron absorption: current questions and controversies. World J Gastroenterol. 2008;14(26):4101-4110.
  • Lönnerdal B. Soybean ferritin: implications for iron status in vegetarians. Am J Clin Nutr. 2009;89(5):1680S-1685S.

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