【最終決着】HMBとプロテイン、ダイエットに効くのはどっち?科学が教える「守り」と「材料」の使い分け

【最終決着】HMBとプロテイン、ダイエットに効くのはどっち?科学が教える「守り」と「材料」の使い分け インナーケア

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「HMBサプリはプロテイン20杯分の効果!」「飲むだけで腹筋バキバキ」

SNSやネット広告で踊るこの言葉を信じて、プロテインをやめてHMBサプリに切り替えようとしていませんか?

結論から言います。その選択は、ダイエットにおいて致命的なミスになる可能性があります。

HMBとプロテインは、そもそも体の中での役割が全く異なります。片方が片方の代わりになることは科学的にあり得ません。しかし、この2つを正しく組み合わせたとき、ダイエット(特に脂肪を減らして筋肉を残すこと)の効率は最大化されます。

この記事では、科学的なエビデンスに基づき、HMBとプロテインの決定的な違いと、「どちらにお金を使うべきか」の優先順位に完全決着をつけます。

【結論】優先順位は「プロテイン > HMB」

この記事の要点まとめ

  • プロテインは「材料(レンガ)」、HMBは「命令(現場監督)」である。
  • 「HMB=プロテイン20杯分」は、成分変換の計算上の話であり、栄養価の話ではない
  • ダイエットの基本はタンパク質の確保。まずはプロテイン(または食事)が最優先。
  • HMBは、カロリー制限中の「筋肉の分解を防ぐ」能力においてプロテインより優れている。

「プロテイン20杯分」という広告のカラクリ

なぜ「HMBはプロテインの20倍すごい」ような誤解が生まれたのでしょうか。これは科学的な事実を巧みに切り取ったマーケティングのトリックです。

科学的事実:HMBはロイシンの代謝物

HMB(ベータ・ヒドロキシ・ベータ・メチル酪酸)は、必須アミノ酸である「ロイシン」が体内で代謝されてできる物質です。

  • プロテインに含まれるロイシンのうち、体内でHMBに変換されるのはわずか約5%です。
  • つまり、HMB 3g(サプリの推奨量)を体内で作り出すには、計算上約60gのロイシンが必要となり、これをプロテイン換算すると約20杯分になります。

トリックの正体

広告は「HMB 3gを摂るにはプロテイン20杯飲まないといけない」と言っていますが、これは「プロテイン20杯分の栄養(タンパク質)がHMB 3gに入っている」という意味では断じてありません。

HMBサプリには、筋肉の材料となるタンパク質はほとんど含まれていません。材料がないのに「家を建てろ」と命令しても、筋肉は作られないのです。

メカニズム比較:レンガと現場監督

この2つの関係性は、家を建てる工事現場に例えると非常に分かりやすくなります。

項目 プロテイン HMB
役割の例え レンガ(材料)
筋肉そのものの原料
現場監督(命令)
「筋肉を作れ」「壊すな」という信号
主な効果 筋合成の材料供給
満腹感の維持
筋分解の強力な抑制
筋合成スイッチの起動
カロリー 1杯 約100kcal ほぼゼロ(数kcal)
ダイエット適性 必須(基礎代謝の維持) 補助(筋肉減少のガード)

プロテイン(材料)がなければ筋肉は作れません。一方で、ダイエット中でカロリーを極限まで削っている場合、材料不足で筋肉が分解されやすくなります。ここで役立つのがHMB(現場監督)です。監督が「おーい!壁を壊してエネルギーにするな!」と叫ぶことで、筋肉の減少を食い止めることができます。

プロテインの種類の選び方については、以下の記事で最新メタ分析を紹介しています。
ホエイ vs ソイ:筋肥大効果に「差はない」?最新メタ分析

科学的根拠:HMBはどんな人に効くのか?

国際スポーツ栄養学会(ISSN)のポジションスタンドなど、信頼性の高い研究によると、HMBの効果が高いのは以下のケースです。

1. 筋トレ初心者

トレーニングに不慣れな時期は、筋肉の損傷が激しく起こります。HMBはこの損傷からの回復を早め、筋肥大を促進する効果が確認されています。

2. ダイエット中(エネルギー不足時)

食事制限でエネルギーが不足すると、体は自分の筋肉を分解してエネルギーを作ろうとします(カタボリック)。HMBの最大の強みは「アンチ・カタボリック(分解抑制)」作用です。
ある研究では、カロリー制限中にHMBを摂取したグループは、摂取しなかったグループに比べて除脂肪体重(筋肉など)の減少が有意に抑えられたと報告されています。

注意:上級者には効果が薄い?

逆に、トレーニング歴が長く、体が刺激に慣れている上級者の場合、HMB単体での劇的な筋肥大効果は認められないことが多いです。

【実践】ダイエット中の最強の使い分け

「どっち?」と迷うのではなく、予算が許すなら「基本はプロテイン、ここぞという時にHMB」という戦略が最強です。

ケース別推奨プラン

A. 予算3,000円以内:プロテイン一択

  • 食事で不足するタンパク質を補うのが最優先です。HMBだけ飲んでも、材料不足なら筋肉は落ち、代謝も下がります。

B. 予算に余裕あり & 短期集中ダイエット:併用

  • 朝/トレーニング後:プロテイン(材料補給)
  • トレーニング前/就寝前:HMB(分解抑制指令)
  • ※特に「糖質制限」をしている場合、筋肉が分解されやすいため、HMBの価値が高まります。

糖質制限ダイエットのリスクと筋肉維持の重要性については、こちらも参照してください。
糖質制限ダイエットの「本当の危険性」と長期的な効果

よくある質問(Q&A)

Q. 女性でもムキムキになりませんか? なりません。HMBもプロテインも、あくまで栄養と信号です。女性ホルモンの関係上、ボディビルダーのような激しいトレーニングをしない限り、適度に引き締まるだけです。安心してください。
Q. BCAA/EAAとはどう違う? BCAAやEAAは、HMBの親戚のようなアミノ酸です。「分解抑制」ならHMBが強力ですが、「エネルギー補給」や「集中力維持」も兼ねるならBCAA/EAAが適しています。
BCAAは意味ない?EAAの方がいい?科学が証明した「筋肉痛を消す」効果
Q. HMBサプリはいつ飲むべき? 血中濃度がピークになる時間を考慮し、トレーニングの30〜60分前がベストです。プロテインはトレーニング後が推奨されます。

まとめ

「HMBとプロテイン、ダイエットに効くのはどっち?」という問いへの答えは、「筋肉の材料となるプロテインが主役で、HMBは筋肉を守るガードマン」です。

広告に惑わされてプロテインをやめ、HMBだけにするのは「材料なしで家を建てようとする」のと同じです。まずは食事とプロテインでしっかりとタンパク質を確保し、その上で「せっかくつけた筋肉を落としたくない」「停滞期を打破したい」というタイミングでHMBを追加投入してください。それが科学的に正しい最短ルートです。

次の一手

筋肉の材料(プロテイン)と守り(HMB)を理解したら、次は「脂肪燃焼の効率」をさらに高めるオイルについても学んでみませんか?運動前の摂取で脂肪燃焼効果を高めるMCTオイルについて解説します。

MCTオイルは本当に痩せるのか?科学が示した「-0.5kg」の有意差

参考文献

  • Wilson JM, et al. International Society of Sports Nutrition Position Stand: beta-hydroxy-beta-methylbutyrate (HMB). J Int Soc Sports Nutr. 2013;10(1):6.
  • Molfino A, et al. Beta-hydroxy-beta-methylbutyrate supplementation in health and disease: a systematic review of randomized trials. Amino Acids. 2013;45(6):1273-92.
  • Durkalec-Michalski K, et al. The efficacy of a β-hydroxy-β-methylbutyrate supplementation on physical capacity, body composition and biochemical markers in elite rowers: a randomised, double-blind, placebo-controlled crossover study. J Int Soc Sports Nutr. 2015;12:31.

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