科学的視点で斬る:EMS美顔器で「顔のたるみ」は本当に改善するのか?

科学的視点で斬る シワ・たるみ対策

「顔に電気を流してピクピクさせるだけで、本当にリフトアップするの?」
「高い美顔器を買ったけど、使いすぎると逆にたるむって噂は本当?」

自宅で手軽にケアできるEMS美顔器。即効性を感じる人がいる一方で、医学的な根拠を疑問視する声も少なくありません。

結論から言うと、EMSは「筋肉由来のたるみ」には効果的ですが、「皮膚由来のたるみ」には無力です。
さらに、解剖学を無視して使いすぎると、顔の靭帯(リガメント)を伸ばし、かえって老化を加速させる「オーバートリートメント」のリスクさえあります。

この記事では、EMSが顔の組織に与える物理的な影響と、たるみを改善するための科学的に正しい使い方について解説します。

【結論】「むくみ」と「筋肉」には効くが、使いすぎは毒

この記事の要点まとめ

  • EMSは電気刺激で強制的に筋肉を収縮させる技術。「筋トレ効果」「ポンプ作用(血流改善)」がある。
  • 顔のむくみが取れることで、一時的にシュッと引き締まって見える効果(即効性)は高い。
  • ただし、コラーゲン減少による「皮膚のたるみ」を治すことはできない。
  • 過度な使用は筋肉疲労や靭帯の伸びを招き、逆に顔をたるませる原因になる。

メカニズム:EMSは顔の中で何をしているのか?

EMS(Electrical Muscle Stimulation)は、元々はリハビリテーションやスポーツ選手のトレーニング用に開発された技術です。

脳の代わりに命令を送る

通常、筋肉は脳からの指令(電気信号)を受けて動きます。EMSは、外部から直接電気信号を送り込み、脳の指令なしに筋肉を強制的に収縮・弛緩させます。

顔には約30種類以上の「表情筋」がありますが、日常会話ではその3割程度しか使われていないと言われます。
EMSはこの「サボっている筋肉(休眠筋)」を叩き起こすことができるため、理論上は顔の筋トレとして有効です。

科学的に検証:「効くたるみ」と「効かないたるみ」

「たるみ」といっても原因は一つではありません。EMSがアプローチできるのは一部だけです。

たるみの種類 原因 EMSの効果
筋肉のたるみ 加齢や無表情による筋力低下。支えきれずに脂肪が下がる。 ◎ 効果あり
筋肉を引き締め、位置を高く保つサポートになる。
水分のたるみ
(むくみ)
血行不良、リンパの滞り。重みで顔が下がる。 ◎ 即効性あり
筋肉のポンプ作用で余分な水分を強制排水する。
皮膚のたるみ 真皮のコラーゲン・エラスチンの減少。皮膚自体が伸びている。 × 効果なし
電気でコラーゲンは増えない。RF(ラジオ波)やレチノールが必要。

つまり、EMSを使って「上がった!」と感じるのは、主に「むくみが取れた」ことと「一時的な筋肉の緊張(パンプアップ)」によるものです。

知らないと怖い「逆効果」になる3つのリスク

EMSは「やればやるほど効く」ものではありません。顔の構造は体とは違うため、繊細な注意が必要です。

リスク1:靭帯(リガメント)が伸びる

顔の皮膚と骨をつなぎ止めている「支持靭帯(リガメント)」は、非常に繊細な繊維です。
強力なEMSで顔を激しく揺さぶり続けることは、ゴムを何度も引っ張って伸ばすようなもの。伸びてしまった靭帯は元に戻らず、将来的な「深いシワ」や「ブルドッグ顔」の原因になります。

リスク2:エラ張り(咬筋肥大)

多くの人がやりがちなミスが、頬のたるみを上げようとして「エラ(咬筋)」にEMSを当ててしまうことです。
咬筋は普段から使いすぎて凝り固まっていることが多い筋肉です。ここをさらにEMSで筋トレしてしまうと、エラが発達して顔が四角く大きくなります。

リスク3:筋肉疲労による下垂

筋肉は、トレーニング(破壊)と休息(修復)のセットで強くなります。
毎日EMSを使い続けると、筋肉が修復する暇がなく、慢性的な疲労状態になります。疲れた筋肉はハリを失い、重力に負けてダラリと下がってしまいます。

科学的に正しい「リフトアップ」の使い方

リスクを回避し、メリットだけを享受するためのルールです。

EMS使用の鉄則

  • 頻度は週2〜3回まで:筋肉の修復時間(超回復)を与えるため、毎日は使わない。
  • 当てる場所を選ぶ:
    • ◎ OK:大頬骨筋(頬の高い位置)、側頭筋(こめかみ)。これらは「引き上げる筋肉」です。
    • × NG:咬筋(エラ)、オトガイ筋(顎先)、口角下制筋(口角の下)。これらは「下げる筋肉」や「凝りやすい筋肉」なので、鍛えるより緩めるべきです。
  • レベルは「ピクピク」程度:顔が歪むほど強くする必要はありません。心地よい刺激で十分です。

よくある質問(Q&A)

Q. 医療用と家庭用の違いは? 出力のパワーと周波数の深さが違います。医療用は深層筋(インナーマッスル)まで届きますが、家庭用は安全のため表層筋への刺激が中心です。家庭用でも継続すれば効果はありますが、劇的な変化は求めすぎない方が良いでしょう。
Q. 歯に響くのが怖いです。 EMSの電気刺激が歯の神経に伝わって痛みを感じることがあります。銀歯やインプラントがある人は特に感じやすいです。頬を膨らませて(空気の層を作って)使用するか、口周りを避けて使用してください。
Q. 使用後は何をするべき? 筋肉を動かした後は老廃物が流れているので、水分を摂って排出を促しましょう。また、ジェルなどで肌が濡れた状態になっているはずなので、保湿ケアで蓋をしてください。

まとめ

EMS美顔器は、顔のたるみを魔法のように消し去る道具ではありません。
しかし、「むくみ取り」「適切な筋トレ」という点においては、科学的に理にかなったツールです。

重要なのは、「どこを鍛えて、どこを休ませるか」という解剖学的な視点を持つこと。そして「やりすぎない」こと。この2つを守れば、EMSはあなたの顔のコンディションを底上げする強力な味方になります。

次の一手

EMSで筋肉をケアした後は、皮膚自体のたるみ(コラーゲン不足)にもアプローチしましょう。肌のハリを取り戻す「レチノール」や、表情ジワを予防する「塗るボトックス」について確認しておきましょう。

「塗るボトックス」は本当か?ペプチド美容液の科学的効果

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