「背中のニキビが治らないから、一生懸命アクネ菌用の薬を塗っているのに、全く効果がない」
「むしろブツブツが増えて、かゆくなってきた気がする」
もしそんな症状に悩んでいるなら、その正体は「ニキビ」ではなく「カビ(真菌)」かもしれません。
一見すると普通のニキビに見えますが、これは医学的には「マラセチア毛包炎」と呼ばれる別の皮膚トラブルです。
原因菌が違うため、一般的なニキビ治療薬(抗生物質)を使っても治りません。むしろ、間違ったケアが悪化を招くことさえあります。
この記事では、背中ニキビに偽装する「カビ」の正体と、皮膚科医もチェックする見分け方のポイントについて解説します。
【結論】「アクネ菌」ではなく「マラセチア菌」が犯人
この記事の要点まとめ
- 普通のニキビは「アクネ菌(細菌)」が原因だが、治らないブツブツは「マラセチア菌(カビ)」の可能性がある。
- カビが原因の場合、抗生物質は効かず、「抗真菌薬」でないと治らない。
- 大きさの揃った小さな赤いブツブツが、背中や胸に多発するのが特徴。
- 自己判断せず、皮膚科で顕微鏡検査を受けるのが最短の解決策。
正体:マラセチア菌とは何か?
「体にカビが生えるなんて!」と驚くかもしれませんが、マラセチア菌は誰の皮膚にも住んでいる「常在菌(じょうざいきん)」の一種です。
普段はおとなしいが、環境次第で暴れる
普段は皮脂を食べて静かに暮らしていますが、汗や皮脂が増えたり、湿気がこもったりすると異常繁殖します。
増えすぎたマラセチア菌が毛穴に入り込み、炎症を起こした状態が「マラセチア毛包炎」です。
「普通のニキビ」と「カビ」の見分け方
見た目はそっくりですが、よく観察すると違いがあります。以下の特徴に当てはまる場合は、カビを疑ってみてください。
| 特徴 | 普通のニキビ(尋常性ざ瘡) | カビ(マラセチア毛包炎) |
|---|---|---|
| 原因菌 | アクネ菌(細菌) | マラセチア菌(真菌・カビ) |
| 見た目 | 大小さまざま。 白ニキビ、黒ニキビなどが混在。 |
均一な大きさの赤いブツブツ。 少し光沢があることがある。 |
| 症状 | 痛みがあることが多い。 | かゆみを伴うことが多い。 痛みは少ない。 |
| 場所 | 顔(Tゾーン、Uゾーン)が中心。 | 背中、胸、肩、腕など体幹部。 顔にはできにくい。 |
なぜ治らない?やりがちな「NGケア」
原因が違うため、良かれと思ってやっているニキビケアが逆効果になることがあります。
1. 抗生物質を使い続ける
一般的なニキビ治療薬(抗菌薬)は細菌(アクネ菌)を殺しますが、真菌(カビ)には効きません。
それどころか、皮膚上の細菌バランスが崩れ、ライバルがいなくなったカビがさらに増殖するリスクさえあります。
ニキビ治療薬で治らない理由については、以下の記事でも解説しています。
「抗生物質が効かないニキビ」の正体とは?
2. ステロイドを塗る
かゆいからといって、家にあるステロイド軟膏を塗るのは危険です。
ステロイドは免疫を抑制するため、カビの繁殖を助長し、症状を一気に悪化させる恐れがあります。
【対策】カビを撃退する科学的アプローチ
マラセチア毛包炎を治すには、以下のステップが必要です。
1. 皮膚科で「顕微鏡検査」を受ける
見た目だけで100%判断するのは医師でも困難です。皮膚科で患部の中身を少し採取し、顕微鏡でマラセチア菌がいるか確認してもらうのが確実です。診断がつけば、抗真菌薬(塗り薬や飲み薬)が処方されます。
2. 抗真菌成分入りの洗浄剤を使う
「ミコナゾール硝酸塩」など、カビの増殖を抑える成分が入った石鹸やシャンプー(コラージュフルフルなど)を使用することで、皮膚上の菌量をコントロールできます。
3. 通気性を良くする
カビは「高温多湿」が大好きです。汗をかいたらすぐに拭く、通気性の良い下着を着る、背中の蒸れを防ぐなど、カビが住みにくい環境を作りましょう。
よくある質問(Q&A)
| Q. 自然治癒しますか? | 軽度であれば、清潔にして乾燥させれば治ることもありますが、多くは長引きます。菌が毛包の奥深くにいるため、市販薬や自然治癒では完治が難しく、繰り返しやすいのが特徴です。 |
| Q. 市販薬で治せますか? | 市販の抗真菌薬(水虫薬など)もありますが、顔や背中に自己判断で塗るのは推奨されません。成分濃度や基剤が適していない場合があるため、まずは医師の診断を受けてください。 |
| Q. 誰かにうつりますか? | マラセチアは常在菌なので、元々みんな持っています。したがって「感染してうつる」というよりは、その人の肌環境(皮脂や湿気)によって「増えるか増えないか」が決まります。 |
まとめ
「ニキビの薬が効かない」「背中に均一なブツブツがたくさんある」「少しかゆい」。
これらに当てはまるなら、敵は細菌ではなく「カビ(マラセチア)」である可能性が高いです。
カビにニキビの薬を塗っても治りません。敵の正体を見誤ったまま戦い続けても、肌を痛めるだけです。早めに皮膚科を受診し、正しい武器(抗真菌薬)を手に入れて、つるつるの背中を取り戻しましょう。
次の一手
マラセチア菌の増殖を抑えるには、特定のシャンプー成分が有効な場合があります。フケや脂漏性皮膚炎にも使われる「ケトコナゾール」の効果について確認しておきましょう。


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