「ヘマチン配合のシャンプーを使えば、白髪が黒髪に戻る!」
そんな淡い期待を抱いて、真っ黒な液体のヘアケア商品を手に取ったことはありませんか?
結論から言うと、すでに生えてしまった白髪を、ヘマチンが魔法のように黒く戻すことはありません。それは科学的に不可能です。
しかし、そこで使うのをやめるのは非常にもったいない選択です。
なぜならヘマチンは、「これから生えてくる白髪」を食い止める予防効果と、「白髪染めのダメージ」を無効化する力において、他の成分の追随を許さないトップクラスの実力を持っているからです。
この記事では、ヘマチンが髪の工場(メラノサイト)に与える影響と、白髪染め世代こそヘマチンを使うべき科学的な理由について解説します。
【結論】死んだ工場は蘇らないが、休んでいる工場は叩き起こせる
この記事の要点まとめ
- ヘマチンには、メラニン色素を作る酵素(チロシナーゼ)を活性化させる作用がある。
- ただし、色素を作る細胞(メラノサイト)が完全に死滅している白髪には効果がない。
- 最大のメリットは、白髪の原因となる「活性酸素」や「残留アルカリ」を除去する能力。
- 「白髪を治す」のではなく「白髪染めを長持ちさせ、次を増やさない」成分として優秀。
メカニズム:なぜヘマチンが「白髪予防」になるのか?
ヘマチンは、動物の血液に含まれる「ヘモグロビン」を電気分解して、タンパク質(グロビン)と切り離したものです。
真っ黒な色をしているのは、血液の色素成分だからです。
1. メラニン製造のスイッチを入れる
髪が黒いのは、毛根にある「メラノサイト(色素工場)」が「メラニン(インク)」を作っているからです。
このインクを作るために必須なのが「チロシナーゼ」という酵素です。
研究によると、ヘマチンはこのチロシナーゼの働きを活性化させることが分かっています。つまり、加齢でサボり気味になった工場に「もっとインクを作れ!」と指令を出すことで、これから生えてくる髪が白髪になるのを防ぐ効果が期待できるのです。
2. 白髪の元凶「活性酸素」を消す
そもそも、なぜメラノサイトは壊れてしまうのでしょうか?
大きな原因の一つが、紫外線やストレス、ヘアカラー剤によって発生する「活性酸素」です。活性酸素は細胞を錆びさせ、老化させます。
ヘマチンは、元々酸素を運ぶヘモグロビン由来であるため、酸素と結びつく力が非常に強力です。体内の活性酸素(スーパーオキシドなど)を強力に除去し、メラノサイトが破壊されるのを防ぐ「抗酸化バリア」として働きます。
抗酸化作用によるエイジングケアの重要性は、肌も髪も同じです。
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白髪染めをしている人こそ必須な理由
もしあなたが定期的に白髪染めをしているなら、ヘマチンはオプションではなく「必須」と考えた方が良いでしょう。
「残留アルカリ」という時限爆弾
ヘアカラー(白髪染め)をすると、薬剤に含まれる「アルカリ剤」や「過酸化水素」が髪内部に残留します。これらはシャンプーしても数週間残り続け、じわじわと髪と頭皮を痛めつけ、「次の白髪」を増やす原因になります。
ヘマチンには、この残留薬剤を分解・除去する働きがあります。
美容室でカラーの後処理にヘマチン配合のトリートメントが使われるのは、この「除去効果」によって、未来のダメージと白髪リスクを減らすためなのです。
瞬時に髪が強くなる?「ケラチン結合」の魔法
白髪予防以外にも、ヘマチンには即効性のある補修効果があります。
ヘマチンは、元相棒である「グロビン(タンパク質)」と別れて不安定な状態です。そのため、グロビンに似たタンパク質を見つけると、瞬時にくっつこうとします。
髪の主成分である「ケラチン」はグロビンと構造が似ているため、ヘマチンは髪につけた瞬間にケラチンと強力に結合します。
| 効果 | メカニズム |
|---|---|
| ハリ・コシが出る | 髪のタンパク質と架橋結合し、擬似的な芯を作る。猫っ毛やエイジング毛に最適。 |
| カラーの持ちUP | 色素が流出する隙間を埋め、酸化重合を促進して色を定着させる。 |
髪の補修という意味では、最新の酸熱トリートメントと併用するのも効果的です。
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【実践】効果的な使い方のステップ
ヘマチンはシャンプーに配合されているものもあれば、「原液」として売られているものもあります。
推奨される使用手順
- シャンプー:まずは汚れを落とす。ヘマチン配合シャンプーなら、泡パックをして1〜2分置くと浸透が良い。
- 原液塗布(ある場合):シャンプーを流した後、トリートメントの前にヘマチン原液を髪に揉み込む。
- トリートメント:ヘマチンの上から重ね付けしてOK。時間を置いて流す。
※注意点:ヘマチンは黒い液体なので、お風呂場の壁やタオルに付くと色がつくことがあります(すぐに流せば落ちます)。
よくある質問(Q&A)
| Q. 白髪が黒に戻る確率は? | 「休止型(一時的にメラニンを作っていない)」の白髪であれば、黒く戻る可能性はあります。しかし「欠失型(細胞が死滅している)」の場合は戻りません。見た目では区別できないため、予防として使い続けるのが正解です。 |
| Q. 育毛効果はありますか? | 男性ホルモン活性を阻害する(5αリダクターゼ阻害)作用があるという報告もあり、育毛ケアとしても優秀です。本気で発毛を狙うならミノキシジル等の医薬品と併用しましょう。 ミノキシジルは本当に効くのか?発毛の真実と正しい使い方 |
| Q. 使用頻度は? | 毎日使っても問題ありませんが、特に「カラーリング直後の1週間」は毎日使うことを強く推奨します。残留薬剤を除去できるからです。 |
まとめ
ヘマチンは、今ある白髪を染める染料ではありません。しかし、「未来の白髪」を減らし、「今の髪」にハリコシを与えるという意味では、エイジングケアの最強のパートナーです。
「治らないなら意味がない」と切り捨てるのではなく、白髪染めダメージの連鎖を断ち切り、これ以上増やさないための「投資」として取り入れてみてください。半年後の髪の密度と黒さが変わってくるはずです。
次の一手
白髪だけでなく「髪が細くなってきた」ことにも悩んでいるなら、毛根に直接作用して髪を太くする「アデノシン」の効果についても確認しておきましょう。


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